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自分にぴったりのキーボード「東プレ RealForce」をチョイスするために、検討すべき7つのポイント

キーボードとビジネスマンたち

筆者はプライベートでブログを書いたり(ちょうど今見て頂いているような記事ね)、仕事で報告書を作ったりと、パソコンで文書作成をする機会が多いことから、”書く道具”であるキーボードにはちょっとしたこだわりがある。最初のころはデザインや色味といった見た目で選ぶことしかできなかったが、色々と勉強するなかで打感や機能を含めて自分にマッチするものをチョイスできるようになってきた。

これまでわりとイイ金額をキーボードに投資してきた筆者が、現時点でベストと思っているのが東プレのRealForceというシリーズだ。本記事ではRealForceの魅力をお伝えするとともに、購入を検討している方が気を付けたほうがよいと思われるポイントを整理してみた。

東プレ RealForceとは?

RealForce(リアルフォース)とは、東プレというメーカが製造・販売しているパソコン用のキーボードだ。もともと同メーカのキーボードは、銀行の窓口をはじめとする金融機関等で用いられる業務用製品として高いシェアを持っており(データエントリー等を主業務とする国内の計算センターではほぼ100%のシェア)、信頼性や操作性の高さには定評があった。その筐体をそのままコンシューマ向けモデルとして販売したのがRealForceというわけだ。ここでは、簡単にRealForceがプロから指示される理由を簡単にまとめてみよう。

魅力その1 なめらかな打感で疲労感を感じにくい

一般的なキーボードでは、キーを押し下げるために必要な重さ(キー荷重)は50~60gと言われているが、RealForceでは最も軽いもので30g荷重の製品が提供されており、非常に軽くなめらかなキータッチを可能としている。荷重が軽いということは、指にかかる負担が小さいことを意味しており、特にデータエントリーのような業務では使用者が感じる疲労感に大きな違いがでてくる。また、キーボードの筐体そのものが堅牢に作られていることも打感の良さへとつながっている。

安価なキーボードでは素材自体の質が低かったり、部品数を抑えていることから、粗悪なものだと入力時にたわみが生じるものすらあるが、RealForceではそのようなことは全くない。かなり強めにタイプしたとしても、筐体がしっかりと受け止めてくれるつくりとなっている。もし店舗で同製品を見かけることがあったら、是非持ち上げてみてほしい。一般的なキーボードと比較して明らかに「重い」と感じるはずだ(それだけ作りがしっかりしているということ)。

魅力その2 高速なタイピングにもしっかり追従してくるプロ機

ゲーマー向け製品を除く、しごく一般的なキーボードの場合、複数のキーを同時に押下すると入力を受け付けなくなる(入力が漏れてしまう)問題が発生する(同時入力できるキー数はキーボードによって異なる)。せっかく高速なタイピングができても、キーボードがそれについてこれないのでは本末転倒だ。RealForceでは「nキーロールオーバー」に対応しており、基本的にすべてのキーの同時押しにも対応できる。これによって「正しく入力しているのに、文字抜けでタイプミスになってしまう」という問題が起きなくなる。ブラインドタッチを心得ている方なら、1秒間に10個程度のキー入力はできるだろうし、腕に自信のある方ならそれ以上だろう。高速なタイピングができる方にこそ、RealForceをお勧めしたい。

魅力その3 人間工学を踏まえた設計

入力がしやすいよう、人間工学に基づいた「ステップスカルプチャー」方式のキー形状を採用している。下記は筆者のRealForceを横から見た画像だ。キーの横列に段差がつけられていることがわかるだろう。これによって指の感覚でホームポジションが認識しやすくなっている。
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また段によってキートップの傾斜を変えている点もわかるだろうか。これは手前のキーボードほど指を引く動きが加わることから、より手前の傾斜を高くすることで、自然な指の動きを妨げないようにしている。逆により遠くにあるファンクションキー等は指を押す動きが加わるため、若干奥側を高くしている。このような工夫によってブラインドタッチが容易にできるほか、疲労感を感じにくくなっている。よく「デスクトップPCからノートPCに変えたら、入力ミスが増えた」という声を聞くが、それは上記機構の有無が関係している可能性が高い(ノートPCは構造上ステップスカルプチャーを採用できない)。

魅力その4 高い耐久性で、長期間の使用にも耐える

RealForceでは、キー入力を検知する仕組みであるスイッチ方式に「静電容量無接点方式」という機構を採用している。詳細な解説は割愛するが、ざっくり言うと機械部品が物理的に接触しなくても入力を識別できる仕組みである。そのため機械的な摩耗がおきにくいことから、一般的なキーボードと比較して3倍長持ちすると言われている(一般的なキーボードのキー寿命である押下1000万回に対して、RealForceは3000万回以上)。

ただ製品寿命以上に価格が高いため(安価なキーボードは1000円程度で買えるがRealForceは1万円以上する)、「長持ちします=コスパがいいです」とは言えない。財布の負担を重視するなら、安価なキーボードを使い倒して壊れたら買い替えるほうが圧倒的にコスパが良いからだ。ただ、価格以上に打感や愛着にこだわる方なら、RealForceを推奨したい。自分の体に馴染んだ道具は、カタログスペック以上のパフォーマンスを生み出すが、それはキーボードも同様だからだ。

検討すべき7つのポイント

RealForceのラインアップは豊富なので、店頭で場当たり的に選ぶと失敗する恐れがある。あとから「こっちのほうがよかったよ」的なことにならないよう、検討すべきポイントを7つに絞ってみたので参考にしてほしい。

①キー配列
②テンキーの有無
③キー荷重
④変荷重の有無
⑤接続方式
⑥キーボードカラー
⑦打感

ポイント① 「キー配列」

RealForceは、様々なキー配列のキーボードがラインアップされている。大きく分類すれば、日本語配列か英語配列かになるが、同じ日本語配列でもwindowsキーやアプリケーションキーの有無によって微妙にキー数が異なる。そのため自分のタイピングスタイルに合ったキーボードを選択する必要があるだろう。購入後に「あれ、Windowsキーがないんだけど・・・」的なことにならないようにしよう。(個人的にはWindowsキーがそれほど重要だとは思えないが、人によって重要度は異なりますからね。)

それと「キーボードを初めて買うよ」という方が陥りがちなのが、配列の違いに気付かずに英語配列のキーボードを購入してしまうミスだ。a~zの基本配列は日本語と同じだが、アットマーク「@」やアンダースコア「_」の位置が日本語配列と異なるため、利用時に戸惑ってしまうことがある。慣れてしまえばどうってことはないが、せっかく大枚をはたいて買うキーボードなので、購入後の後悔はなしにしたい。かなが刻印されていないキーボードは見た目がシンプルでカッコイイが、「日本語配列のかな刻印なし」なのか、「英語配列のキーボード」なのかは、きちんと確認しよう。

ポイント② 「テンキーの有無」

キーボードを設置するデスクの広さやPCの用途から、テンキーの有無を検討するとよいだろう。右利きの使用者を前提とした場合、一般的にはテンキーが無いほうがPC操作全般の使い勝手は良くなると言われている。マウスを操作する際、テンキーがない分、キーボードのホームポジションとマウス間の移動距離が短くなるからだ。

のんびりとWebサーフィンをする程度の利用状況では違いを感じにくいが、ビジネスユースでバリバリと資料作成なんかをする場合は、肩こりなんかにも影響するので、意外とばかにならない。ただし、エクセルで表計算を多用するような場合は、テンキーがあることで作業効率が格段にアップするだろう。この辺は、PCの用途からテンキーの必要性を判断してほしい。ちなみに筆者はプライベートPCはテンキーなし(自宅のデスクが手狭であり且つゲームしかしないから)、仕事用はテンキーありを選択している。

ポイント③ 「キー荷重」

荷重とはキーを押し込む際に必要な重さのこと。前述したように、RealForceは一般的なキーボードと比較して、キーを押下するのに必要な荷重が小さくなるように設計されている(一般的なキー荷重が50~60gなのに対して、RealForceのラインアップは30gと45gの製品がメイン)。荷重の小ささは入力負荷の軽減や高速タイピングの助けとなるが、すべての方にとって30gの製品がが良いとは言えない。打感の良しあしには個人差があるので、実機を置いている店頭で実際にタイプして自分の好みを見つけてほしい。

ポイント④ 「変荷重の有無」

“変荷重”とは、キーによって押下に必要な荷重を変えている機構のこと。指によって力の入り具合は異なるから、小指のような力を入れにくいエリアのキーは、より軽く押せるようにしましょうというありがたい設計だ。指に対応するエリアによってキーの荷重を変えているから「変荷重」と呼ばれる。ラインアップには変荷重ありとなし(なしの場合はすべてのキーの荷重が統一されている)のモデルがあるので、購入時には仕様の確認をしよう。これも感じ方には個人差があるので、実機でどちらが好みか確認してみよう。

ポイント⑤ 「接続方式」

PCへの接続方式として、USBにしますか?PS/2にしますか?というお話。これはPCゲーマーの方以外は、あまり気にしなくてもよいかもしれない。本記事の冒頭で書いた通り、RealForceはnキーロールオーバーに対応していることからキーの同時入力に対する制限はないが、USB接続の場合は、その仕様上6つまでしか同時認識されない(入力順にキーが認識されるため無反応になることはないが・・・)。FPS系のゲームを好む方は、これらの制約を回避するためにPS/2を選択することが多い(PS/2は全キーの同時押しを認識できる)。これも個人の用途によってチョイスが変わってくるので、自分の利用スタイルと相談して決めてほしい。

ポイント⑥ 「カラーリング」

キーボードの筐体自体は、ブラックとホワイトの2色しか選択肢がないが、キートップの刻印はブラック/ホワイト/ゴールド/グレーといった色味がある(組み合わせ自由ってわけじゃないので注意)。個人的にはブラックの筐体にグレーの刻印がカッコよくて好きだ。この辺は完全に主観な部分なので、お好みで色々検討してほしい。尚、ちょっとイイお値段はするものの、スペアのキートップも別売りで販売されているので、自分好みにアレンジしたい人は試してみるのも一興だ。カラーリングのバリエーションは、ホワイト/レッド/ブルー/オレンジ/イエローがあったと思うので、気になる人はお試しあれ。

下記は筆者が愛用しているRealForceに青のスペアキーを取り付けたもの。標準が上の画像で、一部のキートップを換装 したのが下の写真だ。
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ポイント⑦ 「打感」

最も重要なのが打感だ。RealForceは全ての製品で「静電容量無接点方式」を採用していることから、全体的にキーはストンとした素直な押し下げ感があるとともに、スプリングによるスコッという底打ち感が特徴だ(文字で書かれてもわかんねぇ~よって?)。「FILCOのCherry赤軸っぽいメカニカルな打感じゃなきゃイヤ!(カチャカチャとにぎやかな感じが好き)」という方には、そもそもお勧めできないが、そうした拘りがない方なら、滑らかな打感に感動してもらえる可能性が高い。特に上述したポイント③④は単なるカタログスペックというだけでなく、使用感にも大きく影響するので、ぜひ実機で試してほしい。店頭で実機を試す際に、筆者が重要だと感じるポイントをいくつかあげてみる。

できるだけ普段の姿勢と同じ姿勢やポジションを再現する

ごくまれにTMN時代の小室哲哉バリに、なめるようにキーをタイプしている人をお見かけすることがあるが、「自分にマッチしたキーボードを探す」という意味ではあまりお勧めできない行為だと思う。机に向かう姿勢や掌の置きようによって、指先にかかる力は大きく変わることから、できるだけ普段の姿勢に近いポジションで試し打ちすることが望ましい。ほんの数グラムの荷重の違いが打感に影響するため、微妙な違いを体で認識するためには姿勢も正しく(いつもと同じようにする)あるべきだ。過去に「お店で見たときはすごくよかったのに、実際使ったらイマイチ」という経験をしているなら、姿勢やポジションに気を付けてみてほしい。同様の理由から、壁に貼り付けるようにディスプレイされている実機を試したい場合は、店員さんに声をかけて外してもらおう。

試用する実機のスペックを確認してから触る

実機を色々触っているうちにどれが好みなのかわからなくなってきたという経験はないだろうか? もし心当たりがあるなら、目に見える実機を片っ端から闇雲に触れているのが理由だろう。実機に手を伸ばす前に、ディスプレイされている製品のスペックを確認しよう。そして一つ一つの仕様を丁寧にチェックしていくことが望ましい。例えば、「30g変荷重あり」「45g変荷重なし」を比較するのではなく、同じ荷重で変荷重ありとなしを比較するとか、変荷重なし同士で30gと45gを比較するといった方法で、どの仕様が自分にとって好みなのか見極めていこう。

入力、変換、確定、修正のプロセスを再現する

特定のキーを連打するという方法では、キーボードの打感を正確に感じることはできない。よくFキーだけを人差し指で連打している人を見かけるが、これでは自分に合うキーボードを見つけることは難しいだろう。なるべく日頃入力している文章に近い内容をタイプしてみよう。そして実際の入力を想定しながら、変換や確定をしてみたり、Backspaceで修正をするマネ(実際に入力してね)をしよう。かな・カナ・漢字が含まれる日本語の文章が望ましい(英文だと試打するキーが限られるから)。普段の入力を再現することで「もっと反発が強いほうがいい」とか「変換時に違和感を感じる」といったことが見えてくるので、候補を絞り込むための参考になるはずだ。

一度のお試しで決めない

じっくりと絞り込んだ候補だとしても、時間をおいたら感じ方が変わるということがある。特に初めてキーボードを選ぶ方にはありがちかもしれない。「先週触ったときはこれがベストだと思ったのに、今日はなんかこっちがいいかも」と前回ボツにした候補が気に入る可能性もある。そのため一度の来店で決めてしまうのではなく、何度か足繁くお店に顔を出すことが望ましいだろう。キーボードを買い慣れている方の場合は、体の評価軸がバッチリ固まっているので、ファーストインプレッションで買ってしまっても問題ないだろう。または「気に入らなかったら別の買おう!」というブルジョアな方も、ぜひバンバン購入してもらって日本経済の活性化に貢献してほしい。

最後に・・・

一人でも多くの方にRealForceの魅力を知ってもらい、自分にマッチする最良の1台を見つけて頂ければ幸甚だ。