『Metro:Last Light』の背景がよくわかる”アルチョムの日記”をコンプリートしてみた(ネタバレ注意)

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『Metro:Last Light』は2010年に発売された『Metro2033』の続編だ。核戦争により汚染された地上を避けて地下(メトロ)に住むことを余儀なくされた人類がミュータントと死闘を繰り広げる物語であり、本作はその1年後を描いたものである。なかなか凝った世界観だけあって、本作は前作にも増してストーリーが濃厚になっている。リニアなステージを順繰りにクリアしていくことで、大まかなあらすじは十分に理解できるが、ゲーム内の随所に隠された「アルチョムの日記」を拾い集めることで、世界観を理解する助けになるだろう。”自分でコンプリートするのは面倒だけど、ストーリーは詳しく知りたい”という諸兄は、是非ご覧頂きたい。

尚、日記の内容はストーリーに沿っていることから、完全なネタバレを含んでいる。まだゲームをやっていない方や自分で真相を突き止めたい方は、閲覧に注意してほしい。
では、早速どうぞ・・・

Chapter1 悪夢

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序章

事の始まりを尋ねられると僕は決まって「みんなで外に行った日」だったと答える。みんなというのは僕と友人2人のことだ。最初に外に行こうと言い出して仲間を誘ったのは誰だったろう?僕はいつも覚えていないと答える。それは暴かれることのない嘘だ。真実を突き止める術はない・・・ 一緒に行った2人はすでに死んでいる。きしみを上げながらゆっくりと開いた巨大なエアロックの扉は、ミュータントにとってはメトロへの入口、我々にとっては地獄の入口となった。もしかしたら、もっと昔に始まったのかもしれない。

地下鉄に乗って植物園へ散歩に行こうと、母さんが言ったあの日・・・ 短いエスカレーターに乗って地表に出て、目に飛び込んできたガラスのパビリオンや緑に覆われた景色に興奮したのを覚えている。果てしない空には小さな雲が流れ、優しく涼やかな風が頬を撫でた。母さんがアイスクリームを買ってくれて・・・ アイスクリームを食べたのはあれが最後だ。あの日、人類に審判が下された。善人も悪人も平等に、地獄の業火によって裁かれた。我々は神の怒りから逃れて、メトロに身を潜めた。そしてどうやら神は我々など探し出すほどの価値もないと考えたようだった。そして神はどこかに消えた。あるいは死んだのかもしれない。荒廃して見捨てられた星に残った我々は行くあてもないままに・・・ 今も生き続けている。

どうでのいいことはいくらでも覚えているのに、僕は一番大切なことをどうしても思い出すことができない。母さんの顔だ。母さんは戦争が勃発してすぐに亡くなった・・・ あの植物園の日の記憶だけが唯一の思い出だ。母さんの顔を思い出したいと、どれほど強く願ったことか!僕を見つめる目、優しくささやく声、もし思い出すことができるなら、この魂を差し出しても構わない。 ・・・母さん

Note1

僕はハンターの要求に応じ、ミラーの命令を果たし、アンナの期待に応えなければならない。彼らの一員たるに相応しい存在であるという証を、全員に示さなくてはならないのだ。オーダーの一戦士となって、人類とメトロを守ることに人生をささげよう。これは僕に相応しい任務だ。ダークワンの影響をはねのけられる者は、僕しかいないのだから。僕は人類を彼らから解放するために生まれてきたのかもしれない。その役目を果たす時がもうすぐやってくる。なのに、どうしてこんなに不安なのだろう。

Chapter2 焼野原

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過去への列車

一年前、僕はテレビ塔の上から地表に降り注ぐミサイルを眺めていた。激しい熱で金属やガラスが飴のように溶けた光景を覚えている。あの炎の中を生き延びられる者などいない。だがダークワンの生き残りがいたと言う。僕の任務はそいつを始末することだ。自分の始めたことにケリをつけるために。

Note1

だがおそらく、この不安はダークワンが原因ではないだろう・・・ こんなことになってしまったのは、我々が厳しい時代を生きているからなのだ。オーダー全体が、蜂の巣のようにざわついている。かつてメトロをあらゆる危険から守るために作られた組織が、うかつにも自らの手で新たな危機を呼び寄せてしまった・・・ 

秘密軍事施設D6のトンネルに足を踏み入れ、密閉された巨大貯蔵施設を目にした時、我々は人類を救うことができたと思った!ここに蓄えられた食料や医療品、そしてあの作動可能な反応炉があれば、全員が無期限に生き延びることも可能だと。そして地表の汚染が減少する日まで生きながらえれば、再び地上に戻ることができるのだと。

Chapter3 それぞれの思い

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敵の敵

植物園の跡地でダークワンを見つけた・・・ そいつは僕の精神世界に入り込み、奥深くにあるものを引き出した・・・ 彼はまだ子供のようだ。ただ明らかなのは、僕のことを知っていたことだ。そして怯えていた・・・ 僕は目を覚ますと、何者かに捕えられていた。

Note1

枯れ果てた植物園は、いつだって危険で人を寄せ付けない場所だった。ダークワンが自分たちの”巣”あるいは都市を築く前ですら、あそこに近づくスタルカーはいなかった。あの場所に行きたがる者は、この世に僕ぐらいのものだった。だが今回は、帝国のスタルカーたちが何人かいた。

あの純血主義者たちは、これまで都市の中心にある駅からろくに出たこともなかったのに!煙がくすぶる植物園の残骸の中で、彼らは何を探していたのだろう?そしてアンナはなぜ僕を助けてくれなかったのだろう?ミラーの娘が同志を見捨てることなどあり得ない!彼女も彼らに捕まってしまったのだろうか?男まさりで粗暴で、ハンターの足元にもおよばない僕を嫌っていたが・・・ それでも僕は彼女のことが心配だ。

Chapter4 帝国

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帝国

この脱出劇にもしタイトルを付けるとしたら、「敵の敵は友」と言ったところだ。友の名はパヴェル。彼はファシストと敵対する共産主義側の偵察部隊で、指揮官を務めていたらしい。昔から共産主義者は好きになれないが、パヴェルは違う。彼は実に勇敢だった。

Note1

帝国の強制収容所、ダークワンはここにいた。だが今はもういない。つまり僕はその足取りを追わねばならない。ミラーから与えられた任務は、まだ失効していないのだ。あのダークワンをきっと探し出してみせる・・・ その後のことは、その時に決めよう。

あのファシストが真実を語っていて、実際にダークワンをハンザの商人たちに売り渡していたのだとすると、今やメトロのどこに移されていてもおかしくない。ハンザはモスクワメトロの環状線を占有する商業駅の同盟で、現在も定期的に列車を動かし、荷物や隊商を行き来させている・・・ 1日もあれば、ダークワンがメトロの反対側に移されている可能性もある。もしかしたら、もう見つからないかもしれない。

あのダークワンがどうやって拷問と処刑から逃れたのか、見当もつかない。ファシストと言えば、頭の形が”正しくない”という理由で人を縛り首にするような連中だ。ダークワンのような生き物は、悪と堕落の化身だとみなされてしまうだろう。

Chapter5 二度目の危機

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脱出

僕たちは不可能を可能にした・・・ 次はダークワンが消えたことをオーダーに伝えなければ。僕が任務に失敗したことを。彼がメトロ内にいるとすれば、1人で探し出すことはできない。ひとまず近くの中立駅に向かい、オーダー本部のあるポリスへ向かおう。パヴェルが道案内をしてくれる。

Note1

総統のヒステリックな長広舌を耳にして、僕の中で全てのパズルのピースがはまりつつあった・・・ オーダーのパトロールに対する襲撃、その襲撃の張本人たちはポリスの代理人として僕を捕えたのだ・・・ D6の存在はもはや隠し通すことができない。メトロ世界を巻き込む総力戦が、始まろうとしている。

Note2

パヴェルのような案内人がいるのは、本当に心強い。彼は前にもここに来たことがあるらしく、帝国の異様さにも驚かない。彼がどんな任務に就いていたのか知りたかったが、僕はその話題に触れることができずにいた。ただパヴェルは、帝国が事前に戦争の準備をしていたことを知っていたようだ。

我々はD6の内部に貯蔵庫を発見し、そのことがいつしかメトロ中の噂となっていた。独占するつもりなどないが、どうやらそれを釈明している時間はなさそうだ。帝国はこの地下貯蔵庫を奪い取ろうと目論んでいて、我々オーダーの目と鼻の先まで迫ってきている。これでもし、レッドラインやハンザまでもが、この施設のことを知ってしまったらどうなるのだろう?それこそミラーの言っていた通り、戦争になるだろう・・・

Chapter6 救出

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このままではパヴェルは処刑されてしまう。彼が僕を助けてくれなかったら、今頃どうなっていただろう?共産主義者、オーダー、ファシスト・・・ そんなことは今はどうだっていい。彼は僕のために命を懸けてくれた。このまま放っておくわけにはいかない・・・

Note1

メトロの平和が長続きしたためしはない。共同管理体制も、わずか数年で潰えた。世界の終りがはっきりした時点でーー大統領や政府がウラル山脈の向こう側に逃れて生き延びているという噂が噂にすぎず、ロシアが復興を果たすことなどあり得ないことが明白になった時点で、おのずから瓦解してしまったのだ。

それからは誰もが自分で自分を守るようになった。駅はそれぞれ都市国家となり、昨日の隣人は憎むべき敵に変わった。メトロで生き延びることは戦いを意味したーー食べ物や、空気や、数センチ四方の可住空間を奪い合う戦いだ。あの審判の日に20万人もの人々がメトロに逃れてきたが、今日まで生きながらえたのはその4分の1に過ぎない。ハンザ、レッドライン、そして帝国は、強大な勢力となった。

彼らには他の都市にはない力があり、より強固な意志を持って戦いに臨んだからだ。だが流血の続いたこの20年にあっても、メトロ全体を巻き込むような争いは一度も起こらなかった。しかし、我々のちっぽけな地下世界が、新たな最終戦争に直面しているのだとしたら?

Chapter7 闇を抜けて

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闇を抜けて

絞首刑寸前のパヴェルを助け出した。彼はポリスの近くまで、僕を連れて行ってくれると言う。着いたら僕は、オーダーに今起こっている事を報告するつもりだが、土地勘のない僕だけでは、完全に迷子になってしまうだろう。パヴェルが道を知っているといいのだが。

Note1

モスクワでは、長い歴史の間に様々な地下施設が計画され、建設されていった。メトロの駅やトンネルは、そのほんの一部にすぎない。大公たちは秘密の抜け道や隠れ家を作り、ツァーリたちは地下墓地や聖遺物の保管室を造ったーーそして数世紀前ですら、建設のさなかでさらに古い通路が見つかるのが当たり前だった。記録が残っていないほど昔に造られたものもあれば、洞窟や地下河川など、人の手によらぬものもあっただろう・・・

メトロの駅の周辺に何があるのか、その上や下はどうなっているのか、本当のところは誰も知らない。地図は存在しない・・・ 調査に出かけた地図製作者たちがもどらなかったからだ。そして地下墓地に巣食う、あの奇妙な悪夢のような生きものたちはーー本当に汚染の影響で生まれたのだろうか?はるか昔から、あの場所に住みついていたのではないか?もしかすると、彼らはずっと人間を避けてきただけなのかもしれない。

だが人類の命運が尽きつつあり、もはや地上の主でさえなくなったことを感じ取っているとしたら?彼らは次第に大胆になって距離を詰めはじめ、最終的に我々に襲い掛かって、温かいうちにむさぼり食うのではないだろうか?

Note2

パヴェルは植物園の近くで捕まった。僕と同じだ。あそこで何をしていたのだろう?そもそも連中は、あの場所で何をしていたのだろう?あとで彼に尋ねてみよう。とにかく今は、生きて帝国の領土を脱出しなくては。

Chapter8 過去の幻影

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光を抜けて

もうすぐシアターに到着する。メトロの入口は近いはずだ。だが、短い距離とはいえ、地表を進めなくてはならない。踏み出す一歩が最後の一歩になることを覚悟しながら。

Note1

人々がメトロで暮らすことになった日以来、僕は数回しか地表に出ていない。地表の汚染があまりにひどすぎて、何度も出ていこうものなら、重い病に伏してしまうことになる。地表では一瞬の油断も許してくれない。汚染地域に規則性はなく、数分も滞在すれば、汚染により死に至る場所もあれば、化け物どももおあらず、人を寄せ付けない陰気さもないため、住むことができそうな場所もある。

肉眼では安全な地域と汚染地域を見分けることができないため、測定器が必要になる。地表に出るにはガスマスクの装着も必要だ。かつて我々は地表を支配していた。僕は母と一緒に植物園に行ったあの夏の日のことをよく憶えているが、それが現実の出来事だったという実感はほとんどない。あの背の高い家々の1つで暮らし、毎日空を眺めていたことも、まるで夢のようだ。なんだかずっとメトロで暮らしてきたような気がする・・・ それでも、僕はあの失われた世界が恋しい。

Note2

レッドラインはメトロ屈指の最強国家で、ひとつの路線をまるまる支配する一歩手前にある。しかし共産主義者というのはいつも、メトロ全域に共産主義という考えを波及させていき、平等と正義の理念を掲げる国家を再び興すことが自分たちの目標だと語っていた記憶がある。

そこで問題となるのは、独立を保っている駅が可能な限りレッドラインから距離を置いていることだ。つまり彼らは、戦いなくして共産主義国家を再興できない。そう、共産主義者たちは天使ではないのだ。だがファシストたちの所業は、彼らより遥かにおぞましい。それにパヴェルのような味方がいてくれるのは助かる。たとえ彼が共産主義者であったとしても。

Chapter9 芸術の都

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シアター

過去の幻影とでも言うべき市の街、モスクワでの短い滞在は終わった。僕はパヴェルと助け合いメトロへ戻ろうとしている。荒廃した世界を一人で生きるのは不可能だ。この先には多くの人が住むシアター駅がある。ポリスにも非常に近い。レッドラインの警備を抜けられれば、1時間もせずに帰れるだろう。

Note1

パヴェルは準備にもう少し時間がかかると言う。他の駅の市民がレッドラインに入るには、許可証が必要なのだ。常時臨戦態勢にある国家では、外部の人間は即スパイとみなされるからだ。そんなわけで僕は、シアターを見物することにした。この駅はポリスとは違った意味で、メトロ世界における伝説だ。ポリスは生き残った科学者の街と言われ、シアターは生き残った芸術家の街と言われている。

Note2

それもそのはずだ!駅の真上には、世界にその名をとどろかせたボリショイ・シアターが建っているのだ!噂によると、劇場の地下にはメトロに通じる通路があり、そのおかげで大勢のキャストやスタッフが、あの審判の日に命拾いできたらしい。彼らはこの駅で新生ボリショイを立ち上げた。

シアターの評判は、各路線の終点にまで届いている。メトロの終点が人の住める世界の果てであることを考えれば、新生ボリショイ・シアターも世界中に知られていると言えるかもしれない。実際、新生ボリショイは偉大な前身の伝統を保っていると聞く・・・ボリショイで公演があるうちは、地球もまわり続けるのだと・・・ どれほどその公演を見てみたかったことか!ついにそのチャンスが巡ってきたのだろうか?

Chapter10 黒幕

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裏切り

僕が愚かだった。くだらない言葉を真に受けて、友情を信じるだなんて・・・ しかしパヴェルは、なぜわざわざこの僕をワナにかけたのだろうか?この借りは、必ず返す。

Chapter11 レッドライン

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裏切りの代償

僕は地下墓地に入った・・・ 親玉はモスクビンではなくコルブト将軍のようだ。彼は何を企んでいるのか。それにレスニスキーはD6から何を持ち出した?革命の敵をどう排除する?多くの疑問に答えはない。確かなのはパヴェルがダークワンの情報を握っているということだ。彼を追わなければ。

Note1

現時点ではっきりしていることが1つだけある。それはレッドラインが着々と戦いの準備をしているということだ。大げさな声明を出したり、兵士の興奮を煽ったり、帝国ならば常に行っているようなことをひとつもすることなく、メトロ史上最強の軍隊を着実に集めている。戦争の準備が粛々と進行していて、その密やかさは総統のあらゆる演説にも増して不気味さを帯びているように思える・・・

Note2

モスクビン書記長はレッドラインの意思決定にあまり関わっていないように見える。それどころかコルブトの人質に思えてならない・・・ 隻眼の将軍が、一方の手で彼の動きを封じ、もう一方の手でメトロという巨大なチェス盤の駒を動かしているのだ。だが書記長ともなれば、将軍の職を解くことも処刑することさえも簡単にできるはずなのに、どうして彼の無礼に耐え、要求されるがままになっているのだろう?

コルブトの力とはいったい何だ?知識か?パヴェルに追いつかなければ。そうすれば、彼がすべてを教えてくれるだろう。彼がどんな風に、平等や友愛や万民のための公正な国造りについて語り続けるのかは見物だ・・・ あの裏切り者め!

Note3

正義・・・ 平等・・・ 平和・・・ モスクビンは相手の痛いところを突く術を知っている。奇妙に思えるかもしれないが、彼らは正しい。合意にも停戦にもたどり着かなければ、我々はどんなミュータントに滅ぼされるよりも早く自滅するだろう。ファシストたちと同じように共産主義者たちも、オーダーが発見した施設をエサにしている。そして市民たちは、そんな釣り糸も、釣り針も、オモリでさえも飲みこんでしまう・・・

そういう仕組みなのだ。戦争。繁栄しているということは、それだけ多くの血が流されたことを意味する。人類が輝かしい未来を手にするには、また1つの世代が今を捨て去らねばならない。

Note4

ダークワンの最後の生き残りを探し出さなければ。オーダーは僕に殺せと命じている。それが僕の任務だ。彼の同胞を殺したように殺すのだ。この命令について考えることは禁じられている。僕には美念を差し挟む権利もない。だが・・・ コルブトの自白剤によって思い出しことを思うと・・・ もはや僕には、この命令を実行できるかどうか分からない。

Chapter12 希望をのせて

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追跡劇

古い知人の鍛冶屋のアンドリューを通じて、オーダーに報告書を送ることができた。少なくともこれで僕がまだ生きていること、任務は完了していないが遂行中であることをミラーに伝えられる。

Note1

またしてもアンドリューに助け出され、再び目標に向けてレールカーを走らせている。前回は、発見されることが死を意味する危険な箱の中に隠れていたが、今回は悠然と旅をしている。しかし、トンネルには共産主義者の処刑部隊よりも危険なものが潜んでいるようだ・・・

Chapter13 難民キャンプ

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ならず者

パヴェルのグループはトレチャコフスカヤ、通称ヴェニスに向かっている。彼らは数時間ほど先に進み、頻繁に使われているトンネルを通っているようだ・・・ だが追いついてみせる。そうするしかないのだから。

Note1

パヴェルがファシストの強制収容所で「全員を助けるなんてできないんだ。よりまともなやつを選んでいくしかないのさ」と言っていたのを思い出す・・・ おそらく彼は正しい。だがそれ以来、ある考えがずっと僕を悩ませている・・・

我々は皆、人類を救おうとしている英雄ではないか。ほんのわずかでも変異が見られた者を皆殺しにして、より純潔な人間を残そうとするファシストたち。人類を1つの国家に集めて、メトロに平和をもたらすこっとを熱望する共産主義者たち。人類を救うために、知性を持った新たな種を根絶やしにした僕。互いが互いを撃ち殺し、焼き殺し、刺殺しながらも、人類を救うための道を語っていた・・・

Note2

いつか誰かが言っていた。メトロは水の上にあると。水がトンネルの中に入り込むことは、通常ならあり得ない。人が住んでいる駅では昼夜を問わずポンプが動いていて、外からしみ込む水を取り除いているのだ。だがこんな風に、トンネルが地下を流れる川となり、駅が島と化している場所もある。だが、そんなことで立ち止まりはしない。僕は水の上でも追跡を続ける。トレチャコフスカヤはもう目の前だ。

Chapter14 仄暗い水

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仄暗い水

地表の雪が解け始めている・・・ 慣れ親しんだレールカーは大破したが、代わりにボートが迎えに来た。まもなくヴェニスに入港する。おそらくパヴェルはもう到着しているはずだ。

Note1

いまだにメトロ全体が水浸しになっていない理由が分からないという人々がいる。最大数か月の使用しか想定していなかった避難施設で、どうやって人類が20年も生き長らえたのか、不思議に思う人々もいる。人間はゴキブリやネズミ並みにしぶといのだと言う連中もいるが、それだけが理由ではないだろう。僕はいつも、我々は何か目的があって存在しているのではないかと思っていた。その目的を、我々がまだ完全には理解できていないだけなのだと。

Chapter15 水の都

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ヴェニス

暗い地価を流れる河に浮かぶ島、地底のヴェニス。その周辺では物騒な話が後を絶たない。野盗の巣窟だという話も聞いていた。だがはっきりと言えることは、パヴェルはここヴェニスにいるということだ。ダークワンの捜索も重要な任務だが、今はコルブトの企みを暴き、オーダーに警告しなければ・・・

Note1

地下のヴェニスは不思議な街だ。3つの駅は地下水に半ば沈んでいる。老人たちは、かつて同じ名前で呼ばれた別の街があったと言う・・・ そこは世界で一番美しい街だったとも。その街がどうなったか、それは誰にも分からない。

Note2

ヴェニス・・・ 地中のヴェニスは盗賊と人殺しの街だと聞いていたが、そこで出会ったのは普通の人々だった。彼らは自分たちの生活を可能な限り改善し、つかの間の平和を手にしていた。そして外で渦巻く混乱に巻き込まれるのではないかと、心から案じていた。彼らは生き延びたいと願っているだけなのだ。

Chapter16 湿地帯

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斜陽

運が良ければ、廃墟となった協会の前哨基地で、味方が待っているはずだ。知っていることを全て・・・ パヴェルのことや、彼らが行おうとしている実験について話すつもりだ。そして再び、オクチャブリスカヤを目指そう。ダークワンはそこにいる。

Note1

大渦に巻き込まれた気分だーー完全には理解できないような出来事が身の回りで起こり始め、突如その流れの底に引きずり込まれる・・・ どこへ行っても周囲では戦争の話ばかりしている。戦いに備えようとする者もいれば、そこから逃げる者もいる。それでも皆、戦いが近いと信じている。ミラーや総統、モスクビン、シアターの人々、レッドラインからの避難民も同じだ。湿った錆くさいメトロの空気に、血と破滅の臭いが混じっている。これは僕の戦うべき戦争ではない。何とか止める手立てはないのだろうか・・・

Chapter17 教会

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日没

僕は騒がしい音を立てながら湿地帯を進んだ。本当に教会の中に仲間がいるとすれば、すぐに会えるだろう。

Note1

このヴェニスが来るべき戦争で破滅的な状況に陥れば、全ては失われてしまう。トンネルの川を行くゴンドラも、泳ぐ人も、釣り人も、びっくりするほど役に立たない美術館も、暗闇の中で育ちながら希望の光で輝いているこの子供たちも・・・ 何もかもが消えてしまうーー黒焦げになった駅だけを残して。そしてすぐに、残りのもメトロも同じような状況になるはずだ・・・

Chapter18 地下墓地

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地獄を抜けて

面倒な相棒アンナに会えて、僕はなぜだか心から嬉しくなった・・・ 彼女はようやく、あの意地の悪いジョークを言うのをやめた。おそらく彼女は、相棒を戦場に置き去りにしたことを恥じているのだろう。

Chapter19 細菌兵器

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炎を抜けて

全ての道はオクチャブリスカヤに通ず。ダークワンはそこにいる。アンナも今、そこで敵の手中に囚われている裏切り者、レスニスキーの手の中に。

Note1

オーダーの前哨基地を全滅させ、アンナを誘拐した集団が、平和な中立駅であるオクチャブリスカヤを乗っ取る。これはオーダーとハンザに対する宣戦布告だ。オクチャブリスカヤと境を接するハンザは一大勢力だ。レスニスキーの部隊がいくら強いと言っても、まだハンザと戦争を始められる戦力はないはずだ。どうも分からない。コルブトの狙いは何だ?この悪魔は何を考えているのだろう?

Chapter20 病棟

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パンドラの箱

バラバラだったパズルのピースが、恐るべき巨大な絵画へと姿を変えた。みんなにこの事実を伝えるつもりだが、自分自身でも信じられずにいる。共産主義者たちが、オクチャブリスカヤ駅に未知のウイルスを撒いた。疑うことを知らぬ平和な人々が住む駅に・・・

そして彼らは疫病を鎮圧するという名目で処理部隊を送り込み、女、子供、老人問わず、全員を殺戮したというのだ。感染の拡大を防ぐために・・・ もしこれが事実なら、僕もアンナも感染している可能性がある。殺させずには済んだが、この先どれだけ生きられるのだろうか。

Note1

恐らく共産主義者たちは、ウイルスによって住民が完全に死に絶えた駅に乗り込みたいと考えていたのだろう。だが時間がかかり過ぎたので、しびれを切らしたのだ。連中はただ待つだけの姿勢をよしとせず、成果を望み、自らの手で掃除を始めたのだ。生存者の話によると、駅の粛清が始まった時、共産主義者たちは汚染されたと思われる住人達が、環状線の隣駅であるオクチャブリスカヤに逃げるのを見逃した。

だがその逃亡者たちは、処理部隊に尾行されていたのだ。たまたま環状線に居合わせたオーダーの兵士たちに撃退されなければ、今頃彼らは2つの駅を制圧し、ハンザは真っ二つに分断されていたはずだ。だがそれは、オーダーの手でどうにか回避された。

Note2

ハンザに属する環状線オクチャブリスカヤ駅は、今や隔離地区と病院とを隔てる障壁となっている。隣駅からの避難民と、彼らと接触を持った者は、全員ビニールで区切られたスペースに押し込まれ、放置されている。彼らの治療を試みる者は誰もいない。感染が疑われるものは皆区切られたスペースの中に座り、向かい合わせに座った死神とにらめっこをしている。このゲームの1分は永遠に等しい。敗者は感染し、死亡し、火葬される。死神はそう簡単に勝利させてくれるような生ぬるい相手ではないのだ。

Chapter21 運命の河

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運命の河

こんな時でなかったら人生を変えるような出来事だっただろう。しかし、僕たちには今この時以外に時間は無く、メトロ以外の場所はない。メトロを救うためにやれることは全てやらなければ。僕はダークワンに追いつき、アンナはコルブトとモスクビンの陰謀を父親に伝えねばならない。

Note1

コルブトがオクチャブリスカヤで実行しようとしていた作戦を”実験”と呼んでいたことを思い出す・・・ もしこの大虐殺が大戦争の序曲なんかではなく、新たに作り出されたあの恐るべき細菌兵器のちょっとしたテストだったらどうする?共産主義者たちはオーダーとハンザの注意を逸らしているにすぎず、その間にもっと強力かつ圧倒的な攻撃を準備しているのだとしたら?僕は兵士になりたかった。人類を守るためだ。だがあれだけの血を流しても、既に始まってしまった戦争を止めることはできなかった。

悪党を殺して世界を救うスーパーヒーローにはなれなかった。それを夢見なかった訳ではない。それは誰もが夢見ていることだ。だが戦争が始まると、大半は砲弾の餌食にしかなれないことを思い知る。多くの者は、最初の戦闘を生き抜くことさえできない。気が付けば僕は、用意されていた軸の上を小さな歯車のように回っていて、虐殺という名の巨大な動輪が始動するのをただただ見ているしかできないでいる。僕がカーンと共に行く理由も、たぶんそういうことだ。何かを変えることができるとすれば、これが唯一のチャンスかもしれないから。

Chapter22 チェイス

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未来への列車

彼を信じたことはない。当然だろう。だが、カーンの言葉は真実だった。この奇妙な河は、僕を過去に引き戻した。僕が信号を送り、ダークワンを消滅させた瞬間に。そして同時に、種族最後の生き残りがいることを僕に知らせた・・・ 無力でいたいけな子供・・・ カーンは彼を、最後の天使と呼んだ。

Note1

カーン。彼に何を期待して良いのか分からない。彼が何者かすら定かではないのだ。流浪の哲学者か、魔法使いか?さもなくば平行次元からの来訪者か?一体どうやって生活しているのだろうーー人助け?人殺し?彼といると人生のことも自分が生きている世界のことも、僕は何一つ知らないのだと思い知らされる。彼が見せてくれるものは言葉では説明できないーー恐らくこれからも無理だろう。

彼の手にかかると、当たり前だったことが不合理に思え、不合理なものが理にかない。自然に思える。もし彼が正しかったどうする?ダークワンはあくまでも地獄の死者でもなく、天の使いだったとしたら?我々が獣の性に打ち勝ち、彼らとの共通言語を見つけることができていたなら、彼らが我々を救うことも可能だったとしたら?この列車の中でオリの中に入れられている小さなダークワンが・・・ 本当に最後の天使だとしたら?彼が我々に裁きを下そうとしているのだとしたら?

Chapter23 適者生存

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子供

もちろん彼を殺すなんてできなかった。僕が生きている限り、心臓が脈打つ限り、彼を守るつもりだ。カーンは、戦争を止めるために彼が役に立つと言う・・・ 確かに彼は軌跡を起こせる・・・ だが僕はそんなことに利用したくはなかった。僕が彼の家や家族にミサイルを落とした時、彼の戦争は終わったのだから。

Note1

自分がなぜダークワンの影響を受けずにいられるのか、その理由を思い出した。実は僕は選ばれし者だったのだーーと言っても、生まれつきそうだった訳ではない。我々があのエアロックを開けた日にそうなったのだ。あの日僕は死ぬ運命だった。野獣どもに引き裂かれるはずのところを、あのダークワンに救われたのだ。彼らにとって、僕は初めて出会う人類だった。単なる偶然だったのだ。そして僕が脅える間もなく、彼は僕に触れた。それが彼らのきずなを作る方法だったからだ。相手が大人では難しいが、子供なら・・・ まだ柔軟で、魂を覆う殻を持たない者なら心が通いやすい・・・僕はその最初の一人となったのだ。

Note2

あの日僕は、自分や友人の命を危険にさらしてエアロックを開け、死に覆われた地上に出た。母が恋しくて仕方がなかったのだ。その僕を、あのダークワンが見つけた。親を失くした孤独な子供が、この世にたった1人でいるのを見つけたのだ。彼は僕の魂に触れることで・・・ 適応させたようだった。その瞬間から、彼らの存在が僕に恐怖や苦痛をもたらすことはなくなった。僕は成長し、人類とダークワンとを媒介する者となり、2つの世界の架け橋となるはずだった。彼らはエキジビション駅まで僕を探しに来ていた。僕に使命を思い出させるために・・・

Chapter24 終わりなき旅

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その幼いダークワンは、僕の思いなどまるで気にする様子もなかった。僕が彼を追いかけてきたはずなのに、彼のほうが僕の後をついてきた。まるで運命が僕らを引き合わせているかのように・・・

Note1

だが僕は人類のままだった。他人と違っているのが恐ろしかった。異常だと思われるのが怖かった・・・ 彼らの影響を受けずにいられるのは僕1人だったが、僕は自分をモンスターどもの潜伏工作員ではないかと疑っていた・・・ ダークワンとの出会いは記憶から消去されていた。内なる獣が目を覚まし、人間的な部分を飲み込んだのだと。

僕は孤児として地上に出て、初めての息子として帰ってきた。そして天使たちと人類とを結びつけるはずだったのに、彼らに向けてミサイルを撃ち込んだのだ。生き残ったのはたった1人。その彼が、今僕の目の前に立っている。親を失い、この世にたった1人になった子供。なんという因果なのだろう。

Chapter25 分かれ道

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分かれ道

僕たちはポリスに向かっている。幼いダークワンは離れるのを嫌がった。何か理由があるのだろう・・・ それが何かは分からない。だが彼の力は有用で、そばにいてくれることは心強かった。

Note1

僕はミラーからダークワンを殺すよう命じられていたが、どのように伝えればいいのだろうか。ミラーにことを紹介したら、彼はどう思うのだろう・・・ そもそも彼は人類のことをどう思っているのだろう?この数日間、彼が実際に体験してきたことを想像するだけで・・・

最初はミュータントとして殺そうとしていたが、不幸中の幸いともいうべきことに、人間は欲深かった。囚人を監視する番犬は彼を殺すのを止め、見世物にしようとする商人に売り払った・・・ 好奇の視線にさらされる運命を逃れたかと思えば、今度は新米兵士のように前線に突撃させ、彼の能力を悪用しようという一部の人間の邪悪な実験のために、荷物として発送されてしまった・・・ 何ということだろう・・・ 彼が本当に天の使いだったらどうなってしまうのだろう?

Chapter26 亡霊の街

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亡霊の街

風を起こした者には嵐が訪れるという。ダークワンはレスニスキーの思考を暴いてくれた。彼らの計画は分かっている。パヴェルは赤の広場へ向かうだろう。ポリスへ行く前に、そこで彼と対峙しなければならない。ポリスでは和平会議が開かれている。茶番だ。戦争はもう始まっており、メトロの人間が全滅するまで終わらないだろう。止めようとするのは、素手で竜巻を止めるようなものだ。しかし、やらなければならない。嘘つきどもを告発するためにポリスへと向かおう。そして嵐に立ち向かうのだ。

Note1

我々は再び地上を通過している。久しぶりのモスクワ。墓標の街。堕ちた英雄の街。魂を奪われた街。ここはもはや僕の故郷ではない。僕の故郷の街は、過去の中にある。だが小さなダークワンにとってはここが故郷だ・・・ 何とも奇妙なことだが。

Note2

ダークワン。僕は彼の中に天使を見出した。だが彼はただの子供だ。僕は彼が我々を裁こうとするのではないかと恐れた。我々の生死を彼が決めてしまうのではないか?そんな理由で彼を恐れたのだ。メトロ内を引き回された経験から、彼が人類に死の判決を下すのではないかと恐れていた。そして今・・・ 僕はそんな自分をひたすらに恥じている。人間の全てを、我々の成り下がってしまったものを恥じている。人類の歴史をこんな形で終わらせてはならない・・・

Chapter27 赤の広場

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赤の広場

ポリスへと続く道を僕は1つしか知らない・・・ 赤の広場を通る道だ。オーダーは、聖ワシリイ大聖堂に前哨基地を構えている。そこで仲間に接触し、知りうる全てを伝えよう。僕の目的地もそこから近い。もうすぐ全てが終わる。

Note1

赤の広場はどんなところだろう?早く見てみたいものだ。当時を知る人々は、その場所が祖国の心臓だったと語っていた。僕は訪れたことがないが、古い絵はがきでなら見たことがある。モスクワの観光絵はがきの題材としては、きっと一番人気があった場所だろう。聖ワシリイ大聖堂にクレムリン・・・ 外国からの観光客は、真っ先にこの場所を訪れたのだ。そして戦争中、敵はクレムリンに核を使わなかった。代わりに何か別のものを使い・・・ そいつは建物だけをきれいに残して、半径数キロ圏内の生物を全て食い尽くしたのだ。何か・・・ 実験的な兵器だったのだろう。

Note2

もう長い間、赤の広場には誰も近づこうとしない。何かがクレムリンの地下に潜んでおり、命あるものは何であろうと誘き寄せ、食い尽くしてしまうと言われていた。その後、オーダーがクレムリンを火で清めた・・・ 今では空っぽで、何もかも煤で真っ黒だ。この町の他の場所と同じように。赤の広場。静止していた祖国の心臓は、失われて久しい。

Chapter28 植物園

artyomLog28

植物園

和平会談に間に合うよう、ポリスに辿り着かなければ、もたらされるのは和平ではなく・・・ 戦争でしかない。最終戦争だ!疑問の答えは全て見つかった。コルブトの恐ろしい計画には、パヴェルの情報が不可欠なのだ。

Note1

ついに僕は全てを知った。全体像が分かったのだ。僕が見てきたものは、何もかも準備の段階だったのだ。本当の一撃は、最後の最後に、誰もが予期せぬタイミングで繰り出されるだろう。コルブトは、血を流すことなくメトロの全てを掌握してみせると豪語した。確かに可能かもしれない。最後に血を流すとしたら、D6を守るオーダーの戦士たちの血というわけだ。つまり、モスクビンはミラーや他の勢力と和平協定をム杉、共産主義者たちはそのタイミングで不意打ちを狙っているのだ。

Note2

その後コルブトは全人類を一掃し得る武器を手にすることになるだろう・・・ まだ一掃されていないとすればの話だが。全ての駅は死体でいっぱいになり、レッドラインがメトロを支配する。彼らにウイルスの封じ込めができたらの話だがーー何しろウイルスは変異する可能性があるのだ・・・ もう1分たりとも無駄にはできない。この和平会談に遅れる訳にはいかない。

Chapter29 和平会談

artyomLog29
h3>平和の執行

彼は最後の一人ではなかった!彼の興奮や他の仲間に会いたい気持ちは理解できる。仲間を開放し、目覚めさせたいのだ・・・ だが彼はそれをこらえ、先に我々の手助けをしてくれることになった。会議に間に合えば、彼がコルブトの考えを暴いてくれる!この常軌を逸した事態を止められるかもしれない!

Note1

僕はあの子にどうやって助かったのかと尋ねた。一体どうやってあの地獄を生き延びたのかと。今ならその答えが分かる。ダークワンの都市にミサイルが降り注いだ時、彼はただ単にそこにいなかったのだ。ダークワン・・・ 我々はずっと自問してきた。知性を持った新種の生命体が、どうやってこれほど短期間に出現したのだろう?人間はここまで進化するのに数百万年もの時を必要とした。なのになぜ、ダークワンたちは数年で済んだのだろう?答えは簡単だった。我々人間が、彼らに命を吹き込んだのだ。彼らは我々の中から出現したのだ。義父のスホーイは正しかった

ーー彼らは進化の次の段階、我々の次の生物だった。我々は彼らの祖先であり、彼らは我々の子孫だったのだ。我々は自分たちを滅ぼすために多くの兵器を創り出した・・・ そしてその1つが彼らを生み出した。彼らは我々とは違う。我々の命を奪うものが、彼らに力を与える。我々が彼らに残した世界は荒廃し、有害物質で汚染されていたが、彼らはその中で生きる術を学んだ。汚染を吸収することで、自らの生命を維持している。彼らは生まれてすぐ世界に踏み出すわけではないーー

しばらくの間は夢の中に居続け、成長し、先に生まれた者たちから学ぶ。我々が破壊したのは彼らの家だったが、幼い者たちが眠っている場所は地下にあった。植物園やテレビ塔に近い場所だ。テレビ局のビルの地下シェルター内にあり、D6にも接続していた。だがミサイルによって入口のトンネルが落盤し、世界に踏み出す準備がほぼ整っていたダークワンたちは、中に閉じ込められてしまったのだ。

代わりに彼が、あの小さなダークワンが、爆発と母親の最後の悲鳴に揺り起こされ、目を開いた。何が起こったのかも知らず、何の準備もできておらず、世界についても何も知らなかった。彼は同じ種族の者を探したが、見つけることができなかった。なぜならわずかな生き残りは眠ったままだったからだ。彼らは目覚めるべきタイミングを過ぎていた。彼らは遠からぬうちに、一度も目を開かないまま餓死するところだったのだ。

カーンがどんな風にミラーを説得したのかは分からないが、彼は冷静さのお手本といった人物で、ダークワンを見ても武器に手を伸ばしたりはしなかった。そしてその後に起こった出来事は、共産主義者の企て以上のショックを僕に与えたーーD6の中にダークワンたちがいたのだ!カーンは彼らが戦前に人間の手で創り出されたという仮説を立てていた。何のために造られたのだろう?汚染の影響を受けず、声を出さずとも意思疎通が図れる兵士としてか?そうかもしれない・・・だがその後、神は彼らに魂を吹き込むことを決意したのだ・・・

Chapter30 D6

artyomLog30

最後の戦い

彼は去った。為すべきことをして・・・ 仲間に会いに行ったのだ。僕は何も言える立場ではない。人類の生き残りは、最終戦争で互いに殺し合っている・・・ これは彼の戦いではない。彼が僕たちを・・・ 僕を許してくれたと願いたい。僕たちが彼の兄弟、姉妹、母親と父親にしたことを。

Note1

コルブトを阻止しなくては。彼をD6に近づけてはならない。失敗すれば、大戦後の経験、長年の苦難、全ての犠牲・・・ 何もかもが無駄になる。春が地表に長く張った氷をようやく溶かし、暗い地下を離れて太陽の元へ向かう希望も潰えるのだろうか?誰も春を迎えることはできないのだろうか?そんなことはさせるものか。オーダーがD6を保持している間は、希望が残っている。誰か1人でも生き残っていれば。何としてもコルブトを止めなければならない。友や家族のために。メトロの人々のために。待ち望んでいた春のために。未来のために。

Note2

そうだったのだ。D6には最初から、取り立てて言うほどの食料も医療品もなかった。ミラーがそれを我々に伝えたくなかっただけだ。彼は次々に扉を開けていった。自分が約束したものがーー我々の救済のチャンスが見つかることを期待して。だが見つかったのは、ウイルスや、バクテリアや、死の胞子が詰まった容器だけだった。先人たちは大量の禁じられた兵器の山だけを残し、我々はそのパンドラの箱を開けてしまったのだ。コルブトはこのことを知っていた。彼は最初から、食料や物資などに興味はなかったのだ。空腹な人々を支配するのは容易い。彼らは常にそれ以上を欲しがるからだ。我々は自分たちが開いたパンドラの箱を、再び封印する。そうしなければ我々全員に死が待っているだろう・・・

hack4hs

東京の片隅で、娘+嫁+猫2匹と同居中。家族が寝静まった深夜に、FPSとシミュレーションに興じるサラリーマンゲーマー。家事&育児と仕事に追われる毎日で、買ったものの開封すらしていないゲームが多数。マジで老後はゲーム三昧の日々を送ろうと固く心に誓いながら、日々を清々しく生きています。