10分で読める 小説『metro2033』のストーリーラインまとめ(ネタバレ注意)

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『metro2033』とは、ウクライナのゲームディベロッパーが制作したサバイバルホラーFPSだ。核戦争によって地上を失い、地下鉄に居を移した人類が、放射能の影響で誕生したミュータントの脅威に立ち向かうというポストアポカリプス系のゲームに仕上がっている。このゲームの原作となっているのが、ロシア人作家ディミトリ・グルホフスキー氏が手掛けた『metro2033』という小説だ。ゲームが気に入った諸兄には是非読むことをお勧めしたいが、いかんせんハードカバーの上下巻とボリュームがデカイので気軽には読みにくい。そこで小説のストーリーラインを10分で読めるボリュームにまとめてみた。これで小説を気に入っていただけた方は、是非お近くの書店で手に入れて欲しい。

尚、最後のオチまでちゃんとまとめているので、自分で読みたい人は注意して頂きたい。ちなみにメトロにおける地下世界の成り立ちを整理した記事「第4帝国?共産主義?  『Metro2033』のダークな世界観と時代背景を整理してみた(ネタバレ注意)」もお勧めだ。ゲームと小説の世界感を深く体感したい方はご一読を。パワーポイントで作ったメトロマップも掲載しているので、こちらもみて頂けると小説の理解が進むはずだ。

プロローグ

核による終末戦争により、地上を放射能と瓦礫の荒野にしてしまった人類は、住み慣れた地上を捨ててメトロに居住空間を移した。人類にとって、地上を失くしたことすら教訓にはならなかったらしく、物資の奪い合いやイデオロギーの違いから、地下(メトロ)でも争いを続けていた。その終末戦争から20年。地上は相変わらず核の影響が続いていたが、放射能によって誕生したミュータントが跋扈するようになり、更に危険な場所へと変わっていた。人類は銃を持った隣人と対峙するだけでなく、地上から侵入してくるミュータントからの脅威にも晒されていた。

ハンターとの約束と旅立ち

主人公アルチョムが住んでいる、メトロ環状線の外周に位置する博覧会駅という小さな駅は、チョルヌイ(ゲーム中ではダークワン)と呼ばれる新種のミュータントによる侵攻を受けていた。チョルヌイは他のミュータントとは異なり、テレパスのような力で人間の精神を侵食して崩壊させることができたことから、屈強な国境警備員が次々と倒れていった。

その脅威を聞きつけたハンターが博覧会駅へと単身やってくるが、結局敵の侵攻を止めることはできず、彼自身も行方不明となってしまう。アルチョムはメトロ全体の脅威であるチョルヌイの侵攻を止めるべく、ハンターとの約束(自分が戻らないときはポリス駅のメリニク(ゲーム中ではミラー)にチョルヌイの脅威を伝える)を果たすため博覧会駅を旅立つことを決心する。
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詐欺師ブルボンとの出会い

博覧会駅からリジスカヤ駅まで物資を輸送するキャラバンの護衛をかってでたアルチョムは、短期の仕事という名目で住み慣れた駅を離れた。なんの危険もないと思われていたリジスカヤ駅までの道中だったが、アレクセーエフスカヤ駅を目前にしてキャラバンの一行は心霊現象に襲われてしまう。アルチョムを除く隊のメンバーは錯乱状態へと陥ってしまうが、わずかに耐性のあったアルチョムの機転によりその危機を脱することに成功する。

リジスカヤ駅到着後、一人の死傷者も出さずにキャラバンを目的地まで誘導したアルチョムの評判を聞きつけたブルボンという人物から声をかけられる。彼は報酬と引き換えに、アルチョムに旅の同行を求めてきた。終着駅についたキャラバンに替わる旅の手段を探していたアルチョムの思惑と一致したため、彼はこの怪しい人物と一時旅路を共にすることを決意し、静かに駅を旅立った。
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ハンターの導きとハンとの出会い

その後、ブルボンとの旅はあっけなく終わりを迎える。平和通り駅を超えてからスハレフスカヤ駅に至るまでのトンネルで心霊現象に襲われ、彼は命を落とし、アルチョムもまた気を失ってしまう。トンネル内で昏睡状態にあるアルチョムを救ったのは、ハン(ゲーム中ではカーン)と呼ばれる男だった。彼はハンターの幻影に「アルチョムを助けるよう」に依頼され、彼を探しにきたらしい。

その後、彼の導きによってツルゲーネフスカヤ駅を超えてキタイ・ゴーロド駅まで進んだ(道中、またも心霊現象に見舞われるが、ハンの機転で回避することに成功)。駅構内の市場で旅の身支度を整えるためハンと別行動をとっていたアルチョムは、運悪く地元ギャング同士の銃撃戦に巻き込まれる。彼は戦火を避けるために、本来の進行ルートとは異なるトンネルに進まざるを得なくなった。しかしそのトンネルはクズネツキー・モスト駅に通じるもので、共産主義者やファシストが占拠している駅に向かって進むルートであった。
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情けは人のためならず?

結局ハンを見つけることができないまま、また一人となってしまったアルチョムは、戦火を避けて隣接駅に避難しようとする群衆の中で、子連れの老人と出会い彼らを助けた。辿り着いたクズネツキー・モスト駅では厳しい検問にあったが、老人のとりなしによって事なきを得て、駅の宿をとることができた。

クズネツキー・モスト駅はどの勢力にも属していない中立駅ではあったが、隣接する駅を共産主義者におさえられていることもあり、彼らの監視の目がそこらじゅうにあった。夜の宿(テント)で老人から共産主義者やファシストに関する評判を耳にしたが、その会話がいけなかったらしい。翌朝、老人は「共産主義排斥の扇動者」という名目で身柄引き渡しの要求が来ていた。老人とよしみを通じている者の先導で辛くも駅を脱出することに成功した3人だったが、不幸にもファシストが支配するプーシンキスカヤ駅に向かうトンネルを進む以外の選択肢がなくなってしまった。

案の定、プーシンキスカヤ駅ではファシストによる厳しい検問が待ち受けており、不幸にも老人が連れていた子供が射殺されてしまう。義憤と同情に駆られたアルチョムは無意識にその将校を殺してしまうが、それが原因で彼も囚われの身となってしまう。
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敵の敵は味方?共産主義者による救出作戦

帝国に対するスパイ及び破壊工作の容疑をかけられたアルチョムは、形ばかりの裁判によって絞首刑が確定する。激しい暴行を伴う尋問を受けたアルチョムは、プーシンキスカヤ駅から隣接するトヴェルスカヤ駅まで移送され、処刑の日まで投獄されることになった。

処刑の当日、絞首刑の台座にかけられ、首にロープがまかれたまさにその瞬間、共産主義者の特攻部隊が処刑場を急襲し、アルチョムは彼らに救出された。ファシストの攪乱をミッションとしている彼らが、たまたま処刑の一報を聞きつけて、かけつけてきたらしい。その後ファシストの追撃を振り切るために彼らの拠点があるアフトザヴォーツカヤ駅まで退却した一行は、環状線上にあるパヴェレツカヤ駅まで戻り、そこで彼らとは別れた。
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パスポートもなく、金もなく・・・・

アルチョムはパヴェレツカヤ駅で出会ったマークという人物を行動を共にすることにする。パスポートを持たずにハンザを通過してポリャンカ駅方面に進みたいというアルチョムに対して、彼は競鼠賭博を提案してくる。賭博好きの駅リーダーに対して、自分たちを質草(奴隷)にした勝負を挑み、あわよくばパスポートを手に入れるという戦略だ。

結果はものの見事に完敗で、二人は1年間奴隷として奉仕することになったが、代償としてハンザの環状線駅まで進むことができた。その後、幾日か奴隷として奉仕活動をしながら機会をうかがっていたアルチョムは、駅の脱出に成功する。ドブルィニンスカヤ駅では謎の宗教団体から加入を勧められたり、ポリャンカ駅では住民から「影の監視者」に関する話を聞かされるなど、ちょっとした経験を経て、ようやくポリスに到着した。
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博覧会駅への救援はこず・・・

ポリスに到着後、ハンターからのメッセージをメリニク大佐に届けると上層部による議会が招集された。議場に呼び出されたアルチョムは、彼らに求められるまま博覧会駅の状況やポリスに至るまでの道程を事細かに報告した。しかし、数時間にわたる審議の結果出された結論は「博覧会駅は救援しない。情報提供に感謝する」という内容だった。

落胆するアルチョムに対して、議会に参加していた一人の議員が声をかけた。彼はパラモンと呼ばれるカーストに属する議員で、自分たちの要求をのめば博覧会駅を救済するという提案だった。提案の内容は突飛なもので、「神に選ばれた者」しか見つけられないという「人類の未来が描かれた書物」を、司書(ゲーム中ではライブラリアン)が巣くう図書館から見つけてくるというものだった。アルチョムがポリスに至るまでに経験した内容から、彼を「神に選ばれた者」と信じた故だった。

アルチョム本人にそのような実感はとてもなかったが、わらにもすがりたい気持ちだった彼は、パラモンの申し出を受けることにする。
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司書との死闘の末に・・・

メリニク大佐を含む2人のストーカーと案内役を含む数名の探索チームが結成され、アルチョムは彼らに先導される形で図書館を目指した。「神に選ばれた者なら容易に本を見つけることができる」というふれこみだったが、結局目的の本を見つけることはできなかった上に、司書の襲撃で案内役を死なせてしまった。迫りくる司書の攻撃をかわしながら、メリニクとアルチョムはやっとの思いでポリス駅の入口まで退却した。

ただ、ここでメリニクはアルチョムに対して驚くべきことを口にする。「お前はポリスに戻ってはならない」。驚愕するアルチョムだったが、「目的を果たせなかったばかりか案内役を死なせてしまうという失態を演じたアルチョムをパラモンが生かしておくはずがない」というメリニクの意見に渋々納得した。

あとで合流する約束を交わすと、アルチョムはメリニクと別れ、地上を通って隣接するスモンレンスカヤ駅まで移動することにした。
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軍事基地D6へ

アルチョムはミュータントの追撃をかわしながら、やっとの思いでスモレンスカヤ駅に到着する。そこで案内役の死体から持ち帰った”報酬”を開けてみると、戦術ミサイルのありかが示されていた。これがあれば、チョルヌイを巣ごと葬り去ることができる。チョルヌイを人類全体の脅威と捉えているメリニクと思惑が合致し、アルチョムは彼と共に軍事基地D6があると思われるマヤコフスカヤ駅を目指すことにする。

しかし、環状線上のハンザを通行するのに不可欠なパスポートをファシストに奪われたままのアルチョムは、キエフスカヤ駅で待機することとなった。パスポートを手配する間、メリニクが先行してD6の調査を行うこととなり、しばらく別行動となった。メリニクを待つ間、彼がアルチョムのために手配してくれた世話人の子供が神隠しにあう事件が発生する。事件の痕跡を辿るアルチョムと世話人は、神隠しの首謀者である人食い人種に捕えられてしまうが、間一髪のところで突撃隊を率いるメリニクにより救出される。

一行は人食い人種から逃れるため、世話人と子供を連れたままメトロ2号線を経由して、マヤコフスカヤ駅を目指すことにした。道中、やむなくクレムリンを通過する必要があったが、そこにはアメーバ状の人食いミュータントが巣くっていた。一人の隊員と世話人の子供が犠牲となったが、辛くもその危機を脱することに成功する。
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最後の戦いへ

メリニクとアルチョムをはじめとする生存者達は、D6に潜入してミサイルを発射するチームと、地上からミサイルを誘導するチームに分かれて行動することにした。唯一チョルヌイを見たことがあるアルチョムはミサイル誘導の役目を命じられ、ウリマン(ゲーム中でウルマン)と行動を共にすることになった。

彼らはマヤコフスカヤ駅からベロルスカヤ駅を抜けて、環状線沿いに平和通り駅まで進んだ。平和通り駅では北方(博覧会駅)方面から侵入するチョルヌイに備えて、トンネルを爆破する準備を進めていた。アルチョムは博覧会駅の仲間と最後の別れをするため、ウリマンと地上で合流する約束をして一人博覧会駅へ向かった。駅では友人がチョルヌイの犠牲になったことを知らされたが、義父のスホイと再会することができた。ふたりは一時の再開を満喫すると、スホイは防衛線に戻り、アルチョムは地上出口を目指した。
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チョルヌイの目的とは?

地上でウリマンとパーヴェル(ゲーム中ではパヴェル。中盤で死亡する)に合流したアルチョムは、植物公園駅が見渡せるテレビ塔を目指した。塔の上部にある展望台まで、無線機などの物資を運び、ミサイル誘導に必要な準備を整えるとメリニクとの通信が可能となった。どうやらD6側もミサイルの発射体制を整えたようで、あとは誘導装置を起動させるだけとなった。

眼下に広がるチョルヌイの巣を見下ろしたとき、アルチョムは彼らの精神世界に引き込まれ、その瞬間彼はすべてのことを悟った。 チョルヌイは高い知性と放射能に耐える体をもった新しい存在であること。そして彼らは”地上を破壊しても争いをやめない人類”を救おうとしていることを。しかし、彼らからのメッセージを受け止められない人類はその差し出された手に牙をむいていた。チョルヌイは自分たちのメッセージを理解し、人間に伝えることができるメッセンジャーを探していたが、その選ばれし者がアルチョムであった。彼らのメッセージを精神崩壊せずに受け止められるのはアルチョムしかいなかった。

人類にとって極めて重要なメッセージを理解したとき、眼下に広がるチョルヌイとアルチョムは一体となれた感覚を味わったが、次の瞬間、チョルヌイの巣にミサイルが撃ち込まれた。ミサイルを止めようとするアルチョムの努力も空しく、間髪入れずに残りのミサイルが撃ち込まれた。チョルヌイの巣は完全に破壊され、ついさっきまで届いていたメッセージの片鱗も感じられなかった。 アルチョムは人類の最後の希望を自ら破壊してしまった自責の念に駆られながら、メトロに戻っていった。
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hack4hs

東京の片隅で、娘+嫁+猫2匹と同居中。家族が寝静まった深夜に、FPSとシミュレーションに興じるサラリーマンゲーマー。家事&育児と仕事に追われる毎日で、買ったものの開封すらしていないゲームが多数。マジで老後はゲーム三昧の日々を送ろうと固く心に誓いながら、日々を清々しく生きています。

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